太陽地球環境情報チャートの使い方


太陽地球環境情報チャートは、Bartels No.(バーテルスナンバー)毎に以下に示す太陽から地磁気までの様々なデータを組み合わせて表示しています。 

●太陽黒点とフレア情報
●太陽からのX線フラックス
●L1での太陽風データ
●太陽からの高エネルギープロトン粒子フラックス
●静止軌道での高エネルギー電子フラックス
●日本付近の地磁気活動

このチャートから、太陽面-惑星間-地球磁気圏に至るまでのじょう乱現象の因果関係を知ることができます。

注意)
GOES衛星のデータは米国宇宙天気予報センター(NOAA/SWPC)の提供によるものです。
ACE衛星のリアルタイムデータは米国宇宙天気予報センター(NOAA/SWPC)の提供によるもので、データ受信の一部を情報通信研究機構が担当しています。2016年7月27日16時UTからはDSCOVR衛星のリアルタイムデータを太陽風データとして利用しています。
柿岡の地磁気K指数は気象庁地磁気観測所の提供によるものです。

ここにある図はすべて、各種の補正をする前の速報データに基づくものです。学会、論文誌などへの公表はおやめください。
確定したサイエンスデータを必要とされる方は、各データの責任者に連絡をおとりください。
時刻はすべて世界時(グリニッジ標準時、Universal Time、UT)で表示してありますので、日本標準時に変換するには、9時間を足す必要があります。


●Sunspot and Solar Flare(太陽黒点とフレア情報)

このチャートでは、黒点群やフレア発生領域の経度の情報を北半球、南半球毎に表示しています。黒点群(活動領域)の活動の推移を知ることができます。

このチャート上をクリックすると、クリックした日の詳細な太陽活動情報を見ることができます。(例)
 
Bartels No.(バーテルスナンバー)

1832年02月08日をはじめの日として27日毎に更新されている番号です。地球に対する太陽の自転周期が約27日であることから、太陽の自転周期に対応したじょう乱現象を調べる際に用いられます。

AREA(黒点総面積)
黒点群を正方形で表示しており、大きさは総面積を表しています。
黒点総面積
(AREA)
10以上100未満 100以上300未満 300以上500未満 500以上700未満 700以上1000未満 1000以上
正方形の大きさ

SSN(黒点数)
色は各黒点群内の黒点数を表しています。
黒点数
(SSN)
1個以上10個未満 10個以上20個未満 20個以上40個未満 40個以上80個未満 80個以上
青色 緑色 黄色 桃色 赤色
 
Flare(フレア)
重要度0以上のフレアを赤い丸印で表示しています。
重要度 0(S) [面積<200] 1 [200-500] 2 [500-1200] 3 [1200-2400] 4 [ >2400]
丸の大きさ

●X-ray Flux(太陽からのX線フラックス)

米国大気海洋庁(NOAA)のGOES衛星が静止軌道上で観測しているX線フラックス変動を表示しています。ここでは、太陽フレアに伴うX線フラックスの増大をモニターしています。X線フラックスが増大している場合にはデリンジャー現象が発生している可能性があります。

このチャート上をクリックすると、クリックした日のX線フラックス変動が表示されます。(例)

X線フラックスは強度によってクラス分けされています。
X線フラックス強度 10の-8乗以上
10の-7乗未満
[1E-08~1E-07]
10の-7乗以上
10の-6乗未満
[1E-07~1E-06]
10の-6乗以上
10の-5乗未満
[1E-06~1E-05]
10の-5乗以上
10の-4乗未満
[1E-05~1E-04]
10の-4乗以上
[1E-04~ ]
クラス
(予報のレベル)
A
(静穏)
B
(静穏)
C
(やや活発)
M
(活発)
X
(非常に活発)

デリンジャー現象[SWF (Short Wave Fade-out)]
強いX線フレアが引き起こす異常電離が原因で,中波(0.3-3MHz)及び短波(3-30MHz)帯の信号電波が異常吸収を受ける現象.。その効果は1-数MHzにおいて最大となります。

●Solar wind data from ACE(L1での太陽風データ)

米国の惑星間空間探査機ACE衛星(2016/07/28以降はDSCOVR衛星)がL1付近で観測している太陽風データを表示しています。太陽から地球に到来するプラズマや磁場の状態をモニターしています。

このチャート上をクリックするとクリックした日の1日間の太陽風データのチャートが拡大表示されます。(例)

ph(セクター構造)
惑星間空間のセクター構造をあらわしています。
セクター極性 awayセクター towardセクター
桃色 水色
春にはtowardセクターで地磁気活動が比較的活発になる傾向があり、秋にはawayセクターで地磁気活動が比較的活発になる傾向があります。

Bt [nT](太陽風磁場強度)
太陽風中の磁場の強さ(絶対値)を表しています。通常は数nT(ナノテスラ)ですが、太陽から磁気雲等が到来した際には大きくなります。

Bz [nT](太陽風磁場の南北成分)
Bzが大きくマイナス(南向き)を示すときに地磁気じょう乱が発生します。

Vsw [km/s](太陽風速度)
コロナホールやCME(コロナルマスイジェクション)現象等の影響によって変動します。

log Np [cm^3](太陽風密度)
プラズマ雲の到来や高速太陽風の前面で増加します。
 

●Proton flux(太陽からの高エネルギープロトン粒子フラックス)

静止軌道での高エネルギープロトン粒子のフラックスの変動を表しています。太陽フレアやCME現象等に伴う高エネルギープロトン粒子の増加(プロトン現象)をモニターしています。

このチャート上をクリックすると、クリックした日の1日間のプロトンフラックスのチャートが拡大表示されます。(例)

色はそれぞれ異なるエネルギーレンジのフラックスを表します。
エネルギーレンジ 10MeV以上 50MeV以上 100MeV以上
赤色 青色 白色

情報通信研究機構では10MeV以上のフラックスが10(1E+01)以上に増加した時に、プロトン現象として、警報を出しています。
 

プロトン現象
フレアやCME等によって、太陽から高エネルギーのプロトン粒子が到来する現象。極冠域の電離層の異常吸収の原因となったり、磁気圏内の人工衛星の機能障害の原因となったりします。
 

●Electron flux(静止軌道での高エネルギー電子フラックス)

静止軌道での2MeV以上の高エネルギー電子フラックスの変動を表しています。地磁気じょう乱に伴う高エネルギー電子の増加をモニターしています。

このチャート上をクリックすると、クリックした日の1日間の高エネルギー電子フラックスが拡大表示されます。(例)

このフラックスが10の4乗(1E+04)を越えると、人工衛星等で機能障害が発生する可能性が高くなるとされています。

なお、グラフからわかるように、静止軌道上の高エネルギー電子フラックスは日変化をしています。この日変化のパターンは経度によって異なります。このグラフは北米上空の衛星データに基づくものなので、日本上空での変動はこのグラフとは異なっていることにご注意ください。

●Geomagnetic Activity(日本付近(柿岡)の地磁気活動)

気象庁柿岡地磁気観測所のK指数を用いて、日本付近の地磁気活動度の推移を表しています。

このチャート上をクリックすると、クリックした日の1日間の柿岡のK指数と地磁気データプロットが表示されます。(例)

色はその日のK指数の最大値を表しています。
最大K指数 1以下 2以上3以下 4 5以上

(予報のレベル)
水色
(静穏)
緑色
(静穏)
橙色
(やや活発)
赤色
(活発、非常に活発)

また、特定の地磁気じょう乱現象が報告されている場合には以下の記号で表します。
地磁気じょう乱現象 BAY
(湾型変化)
MAGNETIC STORM
(地磁気嵐)
IMPULSIVE DISTURBANCE
(インパルス的じょう乱)
IRREGULAR DISTURBANCE
(不規則じょう乱)
記号 * ^ I

27日毎地磁気活動度の推移は、地磁気活動度チャートでもご覧になることができます。
また、地磁気データのプロットは地磁気オンラインデータベースからご覧になることができます。

K-index(K指数)
静穏日の地磁気日変化に対する地磁気変化の偏差を0-9の指数で対数的に指数化たもので、3時間毎に算出されています。数字が大きいほど、大きな地磁気じょう乱があったことを示しています。



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